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(仮)日々の生活(仮)の避難所だけどメインになるかもしれない。 ちなみにプレハブには住んでません。
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嗚呼。匂い立つね。最近多いね。
それを目前にした人の、事細かな行動がわかるって言うのは
著名な人ならでは、といえるのだろうか。

そして、置き去りにされた人たちの、茫然とした感じ。
影まで抜け殻、藁のようなスカスカさ。

ただの塊、を入れるただの箱、それを運ぶ無表情なひとたち。
影までスカスカになるほど茫然自失としたさま、目の下のクマ。
コントラストが見事だ。

ああいうのいいな。滅多に見られないから。


さて、「あれ」は綺麗な箱に入れてもらえただけ良いのです。
この本に出てくる「他人に命を奪われた人」たちは、
長い間そういった箱に入れてもらえなかった人ばかり。

「三丁目の猟奇」唐沢俊一・ソルボンヌK子三丁目の猟奇
唐沢俊一・ソルボンヌK子

ミリオン出版

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ま、こんな短いタイトルで色々な情報を詰め込めて、
しかも大ヒット漫画・映画のパロディーでもある、となると
まさにこれ以外のタイトルが思いつかないほどなのですが、
要は昭和30年代に起きた主な猟奇殺人を、唐沢俊一の文章と
その妻・ソルボンヌK子の漫画で軽妙且つポイントを押さえて紹介、
といったところでしょうか。

重くならずに読めるので、あの時代の殺人事件をさくっと知りたい、
と言う人にはお勧めですが果たしてそんな人居るのだろうかという疑問。

如何でもいいやね、どの道ニッチな分野です。

全編通して主張されてるように、本書で紹介されている殺人事件が
昭和30年代という、エネルギッシュで渾沌を極めた時代に起きている
ってところが最大のポイントで、貧困や痴情の縺れなどが原因の
旧来型の犯罪から、明らかにそれらとは違うタイプの犯罪、
つまり「何となくむしゃくしゃして」という今でもニュースで頻繁に
聞くような理由や、目的のはっきりしない殺人など、いわば
犯罪ニューウェーブが吹き荒れた時代でもあったらしい。

また、所謂「毒婦」が台頭してきたのもこの時代だったとか。
平気だったのかどうかは兎も角、実に勝手な理由で人を殺める
ご婦人が本書にも出てきますよー。
戦前にだって毒婦は居たじゃねーか、って一瞬思ったのですが
(かの有名な阿部定とか)アレらはいわば、ぽっと出、で
この時代にはそう云う人たちが次から次へ現れるのですから、
台頭と言うのが正しいかと思います。

読後の感想としては、かるーい感じで面白かったす。
殺人事件の本とりあげて、面白いっつーのもアレですけれど。
漫画のお陰でクスっと笑えたくらいにして。脚色アリですからね。
残酷な描写もお話の流れ上、出てきますが、別に見て気持ち悪くなる
レベルの描写ではないと感じましたので、免疫が無くても大丈夫かと。

わたくしの無駄な感想よりも、「はじめに」を引用した方が
100倍有用だと思いますので、引用。カッコ内はわたくしの補足。


そこ(昭和三十年代)には、ほかの時代にない、濃厚なノスタルジーの要素がある。
(中略)
それは、まず、許容できる範囲での貧しさというものに原因があるだろう。そして、その貧しさから、日一日、年一年と、脱却できていくという喜び、希望のようなものが毎日を満たしている。
(中略)
しかし、光あるところには必ず影がある。昭和三十年代を照らしていた希望の光がまばゆいものであればあるほど、その光によって形づくられる影は濃く、また、大きい。昭和三十年代の犯罪史をひもといてみると、そこには、ほかの時代の犯罪に見られない、ユニークさと、時代を反映させた新形式を合わせもった犯罪が目白押しなのである。

「三丁目の猟奇 はじめに」唐沢俊一・ソルボンヌK子(2007)より


と、言う訳で、時代考察が色んなデータでかっちり裏付けられてる、とか
事件の概要から詳細・裁判の内容に至るまでが分かる、といった類の本では
無いのですが、本書では別にそれは目指してないようです。

知的好奇心をちょこっとくすぐってくれる、そういう軽さがあって、
さくさくっと読める(つーか殆ど漫画だ)し、読後重くならないのが良い。
もっともっとマニアックな情報満載でも良かったかなあ、という気は
若干しますが、そこは唐沢俊一先生の著書でありますから、計算された
バランスなのかもしれません。

あ、あとお分かりとは思いますが、どの事件が紹介されてるかは、
唐沢俊一チョイスなので、1冊買って総てが分かる、という内容とは
程遠いです。入り口に最適、な本だと思うのでこれをキッカケに、
他の事件や他の時代にも興味をもって、色んな本を調べてみたくなる、
と言う意味では価値があるかと。
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