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(仮)日々の生活(仮)の避難所だけどメインになるかもしれない。 ちなみにプレハブには住んでません。
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台風が来るそうなので遠出を止めにした。

しかし現在午前11時過ぎの時点では、雨はそれなりに降るも
暴雨風雨とは程遠い。やはり北海道には台風上陸不能なのか?
それともこれから来るんだろうか。

何れにしろ、遠出を取りやめるほどの勢いは無かったようだ。
わたしの大義名分返してよ!

こんな雨の日には読書としゃれ込みたいところ。
先月は何故か旅行がとても多い月だったので、たくさん本を買いました。

その中でも、紀伊国屋書店で衝動買いして正解だった本が此方。


芥川龍之介短篇集
芥川龍之介短篇集
芥川龍之介(著),ジェイ・ルービン(編纂),畔柳和代(翻訳)

新潮社 (2007/06)

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外国人の方が編んだ芥川龍之介傑作集とでもいうべきか。
本編のほうは、わたしが紹介すべき余白が残されていないほど語り尽くされ
そして愛読されてきたまさしく名作に相応しい出来の短篇。
しかしながら、余り有名でない作品が入っていたり、逆によく知られた
作品が入って居なかったり。

これにはちゃんと理由があって、海外の出版に際して編まれたものと内容が
全く一緒だから。つまり如何いう事なの?というのをちょっと長いけど
編者のジェイ・ルービンが語っているところがあるので引用。
(改行は引用者)

芥川作品を読み、その中から私にとって最高と思えるもの、そして代表作と思えるものを今回の翻訳のために選んだ。わかりやすく―普遍的で―一本立ちできる作品を選ぶことにした。
昔から芥川作品の中で最も「重要」とされてきたものをそのまま入れることは避けたが、定評のある作品にはやはり見事なものが多く、結局収録することにした。
個人的に面白いと思えなかった作品は外し、日本の一般読者知らない主題や人物を巡る芥川の独創的な解釈が主眼となる作品も外した。
(中略)
ペンギン・クラシックスによって代表される「世界文学」に加わるにふさわしい作家として芥川を紹介するにあたり、私は以上のようにして、日本の読者にしか完全に理解できない側面は取り除いたわけである。本書に収録した作品は芥川の最高の作品だと思う。
同時に、日本の読者だけに向けられた作品は、芥川の最高の作品ではないと考える。

「芥川龍之介短篇集」ジェイ・ルービン編 村上春樹序 2007 P12-13より


という事で、ごくごく平たく言うと、予備知識が豊富にあるわけではない
方にも面白く読める作品群、という事らしい。

編者は日本以外での出版を据えてこの短篇集を編んだ訳だけど、これは
案外現代に生きる(そしてそれほど予備知識の無い)日本人にも大変
ありがたい編集のされ方なのではないかと思った。

芥川作品に限らず、極端な話最近の作家が書いた作品でさえも、希に
前提がさっぱり理解できず、故に面白さが分からないという事がしばしば
起こりうる。(これはわたし自身の無知の所為もありますが。)

その「分からなさ」は、例えば作中の時代に自分が生まれていなかったり
知識不足だったり、色々な物に起因するのだと思う。
でも、よっぽどの専門書で無い限り、小説を読むに当たって必要な程度の
予備知識などはそれほど難しくなく手に入るものなのだから、
ほんの僅かなつまづきを理由に、素晴らしい作品を原語で読める喜びを
易々と捨ててしまうのは勿体無いと思うのだ。

そう云った意味で優しい短篇集だというのがこの本を買ってよかったと
思える理由の一つ。


もう一つは、そうした眼で選ばれた作品が、作中の舞台の時代別に
並べられているという事。
つまり、江戸以前の話、江戸時代の話、近代の話、そして芥川自身の話、
と言った風に。

これらは発表された順に直すとバラバラなのだけど、平安時代末期を舞台に
羅生門でババアのみぐるみ剥いだ話の後に、藪での殺人を巡って関係者と
目撃者の証言がちぐはぐだっつー話を読んで、更には地獄の様を写し取った
屏風を書いた男の話を読むと、なんだかまとまりがあって頭も疲れないし
個々の作品にまた別の味わいが出るでしょうという事らしい。

これ全く予期していない嬉しいポイントで、時代があっちゃこっちゃ
飛ばないのがこんなに疲れないとは!という新しい発見をした気持ち。



と、色々挙げ連なったけれども、何よりのご馳走は、芥川のよどみの無い
筆致、これに尽きる。
流れるように、とはまさにこのことなのだろうかと。
こういう美しい文章の(美しいものばかりではないけれど)原典を読める
という歓びは何にも変えがたく、日本人に生まれてよかったとつくづく
感じるに値すると思う。


前菜・メインディッシュ・デザートまで網羅されている短篇集なので
見つけたら買いです。1,600円と高くないのもまた魅力。
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